環境分析
ENVIRONMENT
作業環境測定
作業場の「健康診断」にあたり、作業環境の実態を把握するため作業場の有害物質濃度などを測定し、評価するのが作業環境測定です。
有害物質を扱う作業場において、必要な作業環境測定を行い、その結果を記録しておかなければならないことが労働安全衛生法で定められています。
作業環境測定の管理区分について
作業環境測定では、「A測定」と呼ばれる測定と、「B測定」と呼ばれる測定を実施し、その測定結果より『管理区分』を決定し、作業環境が適切な状態に管理されているかを評価します。
A測定:単位作業場所の中に無作為に定めた測定点における気中有害物質濃度を測定し、空間的及び時間的な変動の平均的な状態を把握するための測定で、1時間以上測定します。
B測定:単位作業場所の中で有害物の発生源に近接する場所において、移動作業・間けつ作業・近接作業が行われる場合、A測定に補完して、濃度が最も高いと判断される作業位置と時間における環境空気中の濃度の測定で、連続して10分間測定します。
管理区分の意味
管理区分には、第1~第3までがあり、それぞれ次の意味を持ちます。
- 第1管理区分:
- 作業環境管理が適切であると判断される状態。A測定結果から、単位作業場所の濃度分布を統計的に処理したとき、概ね95%の確率で管理濃度を超えない状態。また、B測定値が管理濃度を下回っている。
- 第2管理区分:
- 作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態。
- 第3管理区分:
- 作業環境管理が適切でないと判断される状態。
管理区分の決定
管理区分の決め方は次表の通りです。A測定とB測定の結果から、それぞれの区分(管理区分に相当)を計算し、その組み合わせによって、作業場の管理区分を決定します。
A測定 | ||||
---|---|---|---|---|
第1評価値< 管理濃度 |
第2評価値≦ 管理濃度≦ 第1評価値 |
第2評価値≧ 管理濃度 |
||
B 測 定 |
B測定値< 管理濃度 |
第1管理区分 | 第2管理区分 | 第3管理区分 |
管理濃度≦ B測定値≦ 管理濃度×1.5 |
第2管理区分 | 第2管理区分 | 第3管理区分 | |
B測定値≧ 管理濃度×1.5 |
第3管理区分 | 第3管理区分 | 第3管理区分 |
測定項目例
有機溶剤
第1種有機溶剤または第2種有機溶剤を製造し、または取り扱いを行う屋内作業場
有機溶剤中毒予防規則(有機則)第28条
▶︎ 作業環境測定の対象となる物質は?
第1種有機溶剤または第2種有機溶剤に指定されている37物質。これら有機溶剤の含有量が重量の5%を超える場合となります。
アセトン、イソブチルアルコール、エチルエーテル、キシレン、酢酸イソブチル、トルエン、メタノール等。
6ヶ月以内毎に1回の頻度で測定が必要です。
特定化学物質
特定化学物質(第1類物質または第2類物質)製造し、または取り扱いを行う屋内作業場
特定化学物質障害予防規則(特化則)第36条
▶︎ 作業環境測定の対象となる物質は?
第1類物質または第2類物質に指定される67物質。また、これらの物質が一定量を超える濃度が含有している場合にも対象となります。
エチルベンゼン、スチレン、メチルイソブチルケトン等。
6ヶ月以内毎に1回の頻度で測定が必要です。